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北陸の製造業の経営者・管理職へ|「やり方」を教えても人は動かない。人が動くのは「考え方」が渡ったときです

8月14日
読了時間: 7分
左に「やり方より、考え方」「技能伝承と手順書づくり|北陸の製造業の現場から」の表紙、右に机を囲み手順書を作る粘土人形の会議風景。


「教えたはずなのに、現場でそのとおりにやってくれない」


「ベテランの技術を残したいのに、手順書づくりが進まない」


「研修に出したのに、翌週にはもとに戻っている」


製造業の経営者や管理職の方から、こうしたご相談をよくいただきます。

石川県、富山県、福井県——北陸三県の中小企業では、技能伝承が待ったなしの課題になっています。


この記事では、私が実際に関わっている二日間研修の舞台裏でのやりとりを題材に、「やり方を教える育成」と「考え方を渡す育成」の違い、そして現場で応用が利く人が育つ組み立て方をお伝えします。


株式会社できる(石川県金沢市/代表取締役・杉本嵩龍)は、理念経営・組織開発の外部参謀|レゴ®シリアスプレイ®と幸動力コーチングで、理念を現場の行動に変える組織づくりを支援しています。


これまで延べ200社・4,000名以上の経営者・管理職・チームと向き合ってきました。




なぜ「やり方」を教えても、人は動かないのか


研修の場で「正しいやり方」を教えることは、実はそれほど難しくありません。


手順を分解し、様式を配り、記入例を見せる。受講者はその場ではきちんと書けます。


けれど、職場に戻ると使われない。なぜでしょうか。


教わったのが「その題材のやり方」であって、「自分の仕事に置き換える考え方」ではないからです。


現場は、研修の題材と同じ形をしていません。


設備が違う、人が違う、そもそも段取りの前提が違う。


だから、マニュアルどおりの手順をそのまま持ち帰っても、あてはまる場所がないのです。


一方で、「なぜこの順番なのか」「どこを見て判断しているのか」という視点が入ると、人は自分の持ち場で応用を始めます。


動くのは、答えを渡されたときではなく、自分の中に考える軸ができたときなんですね。


これは、私が44歳で会社整理を経験してから学び直したことでもあります。


正解を教わっても立て直せなかった。自分で考える枠組みを持てたとき、はじめて足が前に出ました。





ある二日間研修の舞台裏|共同講師とのやりとりで見えたこと


先日、二日間の研修を二人の講師で担当することになり、私が全体の骨子をつくりました。


研修の意図も文章に書き起こし、共同講師の方にお送りしました。


返ってきた提案は、こういう内容でした。


  • 案①:すでにある手順書を、若手とベテランで見直して改良する

  • 案②:全員共通の題材(ブロック、標準三票、「自転車の乗り方」など)で手順書を作成する


とても丁寧で、経験に裏打ちされた良いご提案です。


ただ、読んだときに違和感が残りました。どちらも「手順書の作り方を学ぶ」設計になっていたからです。




私が返信でお伝えしたこと


私が考えていた二日目の流れは、少し違うものでした。


この研修は、次の三つをつなげたいと考えていたのです。


  1. 自分の仕事における経験・判断・工夫を引き出す

  2. 引き継ぎたい作業を五つの作品に分け、作業の流れを整理する

  3. 前日に整理した内容を、他の人に説明できる手順書にする



つまり、題材は「参加者自身の仕事」でなければ意味がないということです。


既存の手順書を改善するのでも、全員で同じ題材を扱うのでもなく、一日目に自分の手でつくった作品と作業分解を、そのまま二日目に持ち込む。


難しい様式は使いません。模造紙かシンプルなワークシートに、作業の順番、やり方、確認すること、判断の目安、注意点を書き出すだけです。


そして、それを使ってグループの人に自分の仕事を説明してもらいます。


  • 「ここが分からない」

  • 「この場合はどうするんですか」

  • 「何を見て判断しているんですか」


こうした質問を受けることで、本人が「自分の手順書に足りていないもの」に気づきます。


人から指摘されたのではなく、自分で見つけた不足は、職場に持ち帰られます。




目的は「完成」ではなく「視点の持ち帰り」


大切にしたいのは、研修中に正式な作業手順書を完成させることではありません。


他の人に説明し、意見をもらう体験を通して、手順書をつくるときに必要な視点を一人ひとりが持ち帰ることです。


その視点があれば、研修後に自分の職場で、実際の手順書を自分の手で整えていけます。


共同講師の方には、参加者がつくった手順書に対して「現場で使うために必要な視点」を助言いただく——そういう役割分担でお願いしました。





「考え方」を渡す研修は、こう組み立てる


北陸の製造業の現場で使える形に整理すると、組み立ての勘どころは三つです。


① 題材を「自分の仕事」にする


共通題材はやりやすい反面、他人事になります。

自分が引き継ぎたい作業を扱うと、その瞬間から当事者になります。



② 手を動かして、見える形にする


暗黙知は、頭の中にあるうちは説明できません。

レゴ®シリアスプレイ®を活用した研修で作品として組み上げたり、作業を分解してカードに書き出したりすると、自分でも気づいていなかった判断基準が表に出てきます。これは、潜水士として「水の中の見えない部分を確かめる」仕事をしていた頃から、私が大事にしている感覚です。



③ 説明させて、質問をもらう


説明は、最強の学習です。

そして質問は、最良のフィードバックです。管理職研修や1on1でも同じことが言えます。上司が答えを言った瞬間に、部下の思考は止まります。




金沢市や富山市の工場でこの流れを回すと、「ベテランが自分の仕事を語れるようになった」という変化が先に起きます。技能伝承は、記録の問題である前に、語れるかどうかの問題なんですね。





明日から管理職ができる、三つの問い


研修を待たなくても、現場でできることがあります。

部下やベテランに、こう聞いてみてください。


  • 「その作業、何を見て判断していますか?」

  • 「もし新人がやるとしたら、どこでつまずきそうですか?」

  • 「この順番なのは、なぜですか?」


答えがすぐ出てこなくても大丈夫です。

言葉にならない部分こそ、引き継ぐ価値のある技術です。


信成万事——信じて関わり続けることが、結果的にいちばん早い道になることがあります。





お客様の声


「最初は『ブロックで何をするんだろう』と半信半疑でした。でも、自分の作業を作品にしてみたら、20年やってきたことを自分でも説明できていなかったと気づきました。若手からの質問がいちばん勉強になりました」

(富山県・製造業/製造課 係長)



「手順書を書かせる研修は今まで何度もやりましたが、翌月には止まっていました。今回は、参加者が自分から続きを書き始めたのが驚きです。教え方ではなく、考え方を渡していただいた感覚です」

(石川県・製造業/代表取締役)





よくある質問(FAQ)


技能伝承がうまくいかない原因は何ですか?


多くの場合、ベテランの技術が「暗黙知」のまま言語化されていないことが原因です。

本人も無意識に判断しているため、聞かれても説明できません。作品づくりや作業分解で一度見える形にし、他者に説明する場をつくることで、言語化が進みます。



手順書づくりの研修は、どのくらいの日数が必要ですか?


内容によりますが、二日間の構成が一つの目安です。

一日目に自分の経験・判断・工夫を引き出して作業を整理し、二日目にそれを説明できる手順書に落とし込む流れが取り組みやすいです。半日や一日での設計もご相談いただけます。




北陸(石川県・富山県・福井県)の企業でも研修を依頼できますか?


はい。

株式会社できるは石川県金沢市を拠点に、北陸三県を中心として全国で研修を実施しています。愛知県、三重県、京都府などでの実施実績もあります。現場を見せていただいたうえで、御社の作業を題材にした内容に設計します。




最後まで読んでくださったあなたへ


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


もし今、


  • 人や組織のことで、ひとりで抱えている悩みがある

  • 頑張っているのに、どこか空回りしている感じがする

  • 「このままでいいのか」と、ふと立ち止まりたくなる瞬間がある


そんな感覚が少しでもあるなら、

それは変化のタイミングが近づいているサインかもしれません。


まずは軽く話すだけで大丈夫です。

無理な勧誘や売り込みは一切ありません。

「話してみて、違うと思ったらそれでOK」です。





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O Sole Mio! いつも心に太陽を!



【著者プロフィール】

幸動力コーチ 杉本 嵩龍(すぎもと たかたつ)

株式会社できる 代表取締役。

「人と組織が幸せに働き続ける未来をデザインする」をミッションに、

脳科学(RAS®)・レゴ®シリアスプレイ®・コーチングを組み合わせた

対話と体感を重視した支援を行っています。

延べ200社・4,000名以上の経営者・管理職・チームと向き合ってきました。

44歳での会社整理という挫折と、ゼロからの再出発を経験したからこそ、

経営者の孤独や、決断し続ける苦しさに、きれいごとなく寄り添えます。

現在は金沢市の山間部でヤギと猫に囲まれながら暮らしています。

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